ランニングにおける膝の痛みとトレーニング

夏が終わり、秋、冬を迎えると同時にマラソンのシーズンとなっていきます。

これからハーフマラソンやフルマラソンに挑戦したいと思った際に、膝の痛みや怪我が怖くなることはありませんか?

また、すでに膝が痛くて走れないという方もいるのではないでしょうか?

本記事では、マラソン、ランニングにおいてどのような怪我が多いのか、怪我を予防するためにはどんなストレッチ、エクササイズ、トレーニングが必要なのかご紹介していきます。

今、膝をはじめとした痛みにお悩みの方、これからマラソンに挑戦する方はぜひ参考にしてみてください。

町田

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ランニングで多い怪我

あるマラソン大会に参加した市民ランナーを対象にした調査では、220人の参加者に対し、「怪我によって1週間以上練習を中断」した人数が122名おり、初めてマラソンに参加した人に限ってみてみると、103人中、43人がランニングでの怪我を経験していました。

怪我を経験した122名の怪我の発生部位をみてみると、膝が86名と圧倒的に多く、足関節、腰部と続いています。

あた、その他のマラソン大会においても、大会参加者の33%がマラソンでの怪我を経験しており、その中の48%が膝の怪我を経験しているという結果が見られました。

ここで注目されるのが、ランニングと膝の痛み、怪我です。では、なぜ膝が痛くなるのでしょうか?

ランニングにおける怪我の要因

ランニングにおいて障害を引き起こす要因には、走行距離、身体的要素、地面やシューズといった環境があると考えられます。

ランニングと膝の障害に関する調査では、膝の痛みと月間の走行距離に相関があるとされており、さらに、膝の痛みを経験した21人中15人の下肢のアライメントには異常があったとされています。

また、厚底シューズと障害の調査では、厚底シューズを履いている408名に対し、298名がランニングでの障害経験があるとしています。特に厚底と従来のシューズとでは、厚底着用経験者の、股関節障害が有意に増えているとし、その背景には、厚底シューズによる走行時のエネルギー効率化に対し、骨盤の制御能力などの身体的要素が不足している可能性が考えられるとされています。

これらのことから、走行距離や身体的要素(アライメント)、シューズや地面などの環境は相互に影響を与えていることがわかります。

走行距離やシューズ、地面はランニングコーチや自分自身で調整できるとして、身体的な側面で膝の痛みを改善、予防するためにはどうすればいいのでしょうか?

膝痛を引き起こす要因

パフォーマンスピラミッド

膝の痛みを考える上でまず、ランニングのパフォーマンスはどう決まるのかを見てみてみましょう。

パーフォーマンスピラミッドの説明はこちら

パフォーマンスはピラミッドのような形で土台や土台の広さが大切になります。
1階の「ポジション」は関節の可動性や、安定性を表します。
2階の「パターン」は運動をコントロールする能力である、コーディネーションを表します。
3階の「筋力」は筋力やパワーを表します。
4階の「スキル」は今回はランニングのスキルを表します。

では、各階を実際にランニングに当てはめて考えてみましょう。

ランニングにおけるポジション

ランニングを行う上で、姿勢や、可動域、安定性は土台としてとても重要になります。

では、画像のような関節のポジションではどうでしょうか。

画像のような関節のポジションの人がランニングを行うことで怪我に繋がりやすいというのはイメージがつきやすいと思います。柔軟性や可動性、安定性がないことで関節のポジションが変わり、関節のポジションが変わることで関節への負荷が増え怪我や痛みを引き起こします。つまり、ランニングを行う上でまずは、関節が適切なポジションにあるかどうか、身体の各パーツが適切の動くか、安定させることができるかが重要になります。

関節の安定性と可動性についてはこちら

ランニングにおけるパターン

コーディネーション能力を簡単に表すと「身体を操作する能力」です。ランニングにおいて、いかに効率よく走れるかを表すランニングエコノミーという言葉がありますが、上り坂や下り坂、凸凹の床、気温など変化する環境の中で、アクセル100%とブレーキ100%しか使えない人と、状況に合わせてアクセルとブレーキを使い分け、柔軟に適応できる人とでは、後者のランニングエコノミーが優れていると考えられますね。これはランニングの経験も大きな要素となりますが、適切な運動パターンで体が動いているか、様々な運動のバリエーションを持っているかも重要になります。つまり、身体のコーディネーション能力を向上させるためには、適切なポジションで適切な運動パターンを選択できる動きのバリエーションを増やしていくことが大切になります。

ランニングにおける筋力

ここまでは、身体のパーツに問題がないか、身体の操作技術はどうか?といったところに目を向けましたが、次は出力です。どんなにパーツが良くてプロのドライバーが運転していても、軽自動車と大型の自動車では排気量からスピードや馬力では違いが出てきますよね。そのため、身体のパーツ、身体操作技術を土台に筋力、パワーを向上することで、パフォーマンスを向上することができると考えられます。

ランニングスキル

ここまでの土台がしっかりと積み上がっていることでランニングコーチや、自身の戦略とランニングスキルが噛み合っていきます。

アンバランスなピラミッドと膝の痛み

パフォーマンスを向上させるためにはピラミッドの土台が大切であると表現しましたが、怪我をしがちな人のピラミッドはどうなっているのでしょうか?
膝の痛みという例で見てみましょう。

膝が痛いAさんは、ベテランのマラソンランナーであり、ランニングスキルも高い状態です。しかし、O脚、骨盤前傾、反り腰といった関節のポジションであり、各関節の可動性や安定性もない状態です。さらに、ポジションが崩れているため、効率的な運動パターンを選択できず、スキルや筋力頼りになってしまっていることがわかります。つまり、画像のように逆ピラミッドで考えることができ、膝痛のような怪我だけでなく、パフォーマンスの向上も阻害してしまいます。

この方にとっては、膝の痛みの改善としてポジション、パターンへ介入するトレーニングを行うことでランニングのパフォーマンスも向上することができるのでは?と考えられます。

では実際にどんなことができるのか一例をご紹介していきます。

膝の痛みを改善・予防するエクササイズ

膝の痛みは、X脚、O脚など関節ポジションの変化によって筋が過剰に使われる、または牽引(引っ張られる)ことと関わっているとされています。また、体幹部の不安定性により、股関節の動きが阻害されることも関節のポジションや痛みと関わっています。

今回は、そんな関節のポジションや体幹の安定性、運動パターンのエクササイズをご紹介していきます。

大腿側面のセルフリリース

膝の外側にある大腿筋膜張筋は腸脛靭帯へと繋がり、関節のポジションがずれている際に痛みを引き起こします。特にO脚、トレンデンデンブルグ歩行(モデル歩き)などで痛みが誘発されます。また、過剰な大腿筋膜張筋の働きは、股関節の動きを阻害してしまいますので、まずはここをリリースしていきましょう。

ストレッチポールに横向き一直線で乗り、上下に体を動かしながら、痛いポイントを見つけていきます。痛いポイントが見つかったら、その場で膝の曲げ伸ばしをおこなっていき、30秒〜1分程度動かしていきましょう。

強圧刺激として、拒絶反応がある方は無理をせず、片足を床に下ろす、柔らかい素材に変える、マッサージや整体に行くなどしていきましょう。
長時間の動きはもみ返しy、次の日の痛みとつながることもありますので、1分程度に抑えます。

通常、痛気持ちいいぐらいの強度が理想ですが、初期は痛く感じる方もいますので、無理のない範囲で行います。

股関節のストレッチ

臀部の筋力低下や、滑走不全、内転筋群の過活動、不活性は股関節のポジションに影響を与えるとともに、X脚、膝が内側に入るKnee-inとも呼ばれる状態では、膝の内側に負担がかかり、膝内側部に痛みを発することがあるため重要な領域となります。

臀部のストレッチでは、タオルやストレッチポーツなどで高さを出しながら股関節を90度に曲げます。後ろ足の股関節が開かないように注意をしながら、体側の手を伸ばして体を倒しましょう。倒した場所で深呼吸を行い、体を起こす。この動きを55~10回程度繰り返していきます。

お尻の伸び感を感じない方は、後ろ足が開いていることが考えられますので注意していきます。

内転筋のストレッチです。

四つ這いで片足を真横に伸ばします。この際に腰が丸まってしまわないように注意します。そのまま、腰が丸まらない範囲でゆっくりをお尻を後ろに引いていきます。
引いたポジションで深呼吸を行い、戻す。この動きを5~10回程度繰り返します。

体幹の安定性エクササイズ

関節のポジションが崩れている場合、適切な呼吸ができずに反り腰を誘発していまいます。適切な呼吸ができないと適切な腹圧がかけられず、不安定となり、結果として股関節の動きも不安定となり、適切な運動パターンも崩壊してしまいます。

そのため、適切な呼吸、腹圧を高める、腹圧を高めた状態でのエクササイズをおこなっていきます。

仰向け、両手両足を上げた状態で深呼吸をしていきます。息を吸った際に腰が床から離れない、腰で床を押すような感覚を掴んでいきます。
この状態でお腹への圧を感じ10秒程度時間をかけて深呼吸を繰り返しましょう。安定した姿勢を獲得できたらそのまま片足ずつ床に下ろしていきます。片足10回程度行い体幹部が熱くなっていく感覚を感じます。

腰が浮く、方に力がいるなど「体幹部」以外を使ってしまう場合は、一度休憩しリセットしながらおこなっていきましょう。

適切な運動パターンの学習エクササイズ(ヒップヒンジ

筋のアンバランスを改善し、関節のポジションを適正化させた後は、正しい運動パターンを学習していきましょう。
股関節の正しい動き、ヒップヒンジを獲得していきましょう。
画像のような姿勢をシンボックスと言います。シンボックスの姿勢から、体重を前足側の臀部に乗せ体を起こしていきます。この動きを10回程度繰り返していきましょう。臀部や体幹部に力が入るのを感じます。

この際に、頭から動く、背中が丸くなる、背中が反るといったエラー動作が起こりやすくなるため注意していきましょう。

まとめ

ランナーに多いとされている膝痛についてご紹介しました。膝の痛みを改善、予防するためには、パフォーマンスピラミッドで表した「ポジション」つまり、身体のパーツを整える、「パターン」身体の操作技術を向上させることが大切であるとわかりました。ボディメイクサロンRiriでは、なぜ膝が痛くなってしまったのか、根本の部分である、身体の評価から改善のためのエクササイズをご提案することが可能です。

今回ご紹介したのはあくまで一例となりますので、ぜひ身体に関してお悩みがある方Ririのトレーニングをお試しください。

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参考文献

・岡戸敦男,岡村幸枝,久保田真広,小林寛和,鳥居昭久,船戸嘉忠,宮下浩二,山本充伺 東海スポーツ傷害研究会会誌:Vol.31(Nov.2013) 「名古屋ウィメンズマラソン出場者を対象としたランニング障害に関する実態調査」 図4:ランニング障害の発生部位

・野口蒸治,伊藤嘉浩,村上秀孝 整形外科と災害外科 46: (3) 628~630,1997 「ランニングによる膝障害」

・村上秀孝,野口蒸治,宮本義明 整形外科と災害外科46: (4) 1214~1216, 1997 「一般市民ランナーにおける下肢のランニング障害-佐伯番匠健康マラソン大会におけるアンケート調査より」

・James, S.T. et al.: Injuries to runners. Am J Sports Med, 6: 40-50, 1978

・植山剛裕,筒井俊春,上久保利直,後藤晴彦,鳥居俊 「男性長距離走選手の厚底シューズの着用がランニング障害に及ぼす影響」

・福井勉 「膝関節の動作疾患」理学療法科学 18(3):135-139,2003

・石川修平「陸上長距離選手の膝痛に対する運動療法とインソールによる介入」症例報告